五郎太夫（呉祥瑞）について 『角川日本陶磁大辞典』 五郎太夫　祥瑞 【五郎太夫】の項目によると、祥瑞といわれる中国明末期の染付磁器にみられる「五良大甫　呉祥瑞造」の銘款。五郎大甫と記す場合もある。この銘款をどう解するかについては諸説あり、いまだ解明されていない。 【祥瑞】の項目に「五良大甫　呉祥瑞造」の銘款についての諸説の概略（以下にまとめる）が載っている。 『桂林漫録』は祥瑞は日本の伊勢の松坂の陶工とし、『茶道筌蹄』は伊勢の津の人としている。『本朝陶器攷証』では、伊勢の五郎大夫の次男で伊勢飯高郡大口村の出身という。石割松太郎『祥瑞の研究』では伊勢の陶工伊藤五郎大夫であると述べる。江戸後期には祥瑞のやきものが大人気を博しており、当時からこの銘文をもつやきものは日本人の作と考えられてきた。しかし、斎藤菊太郎は『古染付・祥瑞』（『陶器全集』15　平凡社）の中で、この銘文を「呉家の五男の家の長子」と解釈しており、これによって日本人陶工説は退けられた。 『やきもの事典　増補』ｐ.133　呉祥瑞 呉祥瑞の項目によると、生没年不詳。祥瑞を焼いた中国明末の陶工。日本人との説は誤りと説明されている。 祥瑞の銘文解読については『陶磁大系　44　古染付・祥瑞』ｐ.106　ションズイの銘文解読が詳しい。 結論としては、呉祥瑞は呉家の五男の家の長子と解され、祥瑞は号に相当すると説明している。