中国書籍　 本書は、2023年9月2日から11月30日まで故宮博物院午門展覧ホールで開催される「茶・世界——茶文化特展」に合わせて出版された展覧会図録です。展覧会は「茶の起源：中国」「茶道の和を尊ぶ精神」「広がる茶の道」「続く茶の風韻」の四つの単元に分かれ、全三巻として刊行されます。本書はその第一巻「茶の起源：中国」にあたり、139点（組）の文物を収録し、「中国の茶葉」「九州の名茶」「茶の調製法」の三部構成となっています。 **第一部「中国の茶葉」**では、考古学的発見や文献、絵画描写、器物装飾などを通じて、茶樹の栽培や喫茶の歴史を紹介し、茶葉の栽培・製造・輸送の過程を再現しています。 **第二部「九州の名茶」**では、清宮に残された数十種類の貢茶（皇室への献上茶）や宮廷内の茶庫・茶房に関する文物を通じて、各地の豊かな茶葉資源を紹介し、地方の貢茶制度や宮廷での茶の使用制度を解説しています。 **第三部「茶の調製法」**では、煎茶・点茶・煮茶・泡茶の各方法を表現した絵画や茶器を中心に取り上げています。例えば、宋代の佚名作《斗漿図》、清代の金農作《玉川煎茶図》、明代の丁雲鵬作《玉川煮茶図》、竹製仕女共読図筆筒、竹製対局図筆筒、紫砂胎剔紅山水人物図執壺などが含まれます。さらに、清代の辺寿民作《雑画冊之茶具図》や邹拡祖作《茶具図》、民国時代の版画《話蘭室仿曼生壺詩箋》など、茶具に関する作品も収録されています。 また、喫茶に関連する器物として、托盞、茶釜、風炉、碾（茶葉を砕く道具）、執壺、研鉢、渣斗、罐、匙などが含まれます。陶器では宜興窯の紫砂が代表的であり、磁器では邢窯の白釉、建窯の黒釉、景徳鎮の青花・白釉、越窯の青釉、龍泉窯の青釉などが紹介されています。